ABOUTVIDEO COLLECTIONINTERVIEWSFOR RESEARCH
Interview Index
インタビュー一覧
Message Index
制作者からのメッセージ
     
  Soeprapto Soedjono & Christophorus A. D.
スプラプト・スジョノ& クリストファラス A.D.
 
     
     
  【スプラプトのプロフィール】
1949年東ジャワ生まれ。ジョクジャカルタには高校・大学時代から在住。大学卒業後、アメリカ合衆国に留学。シカゴ大学にて修士号(視覚芸術学)、オハイオ大学にて博士号(比較芸術学)を修得。現在、インドネシア国立芸術大学(ISI)記録メディア学部テレビ学科長。研究・教育に従事するだけではなく、写真やビデオ制作などの幅広い実践活動を行っている。



【クリストファラス A.D.のプロフィール】
1970年ジャカルタ生まれ。ジョクジャカルタには高校から在住。1994年ISI記録メディア学部テレビ学科入学。1999-2000年、フランスの美術学校でビデオアートを学ぶ。帰国後、ジョクジャカルタの芸術専門学校で教職につき、2005年度からISIでも教えている。ビデオ制作では、エディターとして活躍。エディター、脚本、何でも出来るが、自分の専門はカメラだと思っている。


■作品『モンキー・ビジネス』について

 題材を選んだ理由は、まずこのプロジェクト全体の統一テーマが「ストリート・カルチャー」だったからです。「モンキー・ビジネス」は英語で「詐欺」「愚行」「インチキ」というような意味でしょう? それと、実際に猿使いをしている男を題材に、ダブル・ミーニングをねらった作品なんです。BGMに使用した音楽(ビバルディの「春」)については、猿使いの単調なドラム音に西洋古典をかけあわせることで、そのダブル・ミーニングを際だたせるように考えたものです。

 大阪の観客は、音楽のミスマッチについていろいろ考えてくれたようですね。音楽にビバルディの「春」を選んだのは、クリスのアイディアです。シンプルに見える商売(=猿使い、シンプルなドラム音)に対して、彼の生きるより複雑な背景を、ビバルディの複雑な音楽をかぶせることによって表現したかった。ビバルディの「春」の喚起するイメージは、大阪とジョクジャカルタとではだいぶ違うかもしれませんね。大阪の観客には、学校教育などから来る固いイメージがクラシック音楽にあるのかもしれませんが、ジョクジャの観客は「ビバルディ」とか「春」などの固有名詞では理解しないでしょう。その前提が異なっていると思います。

 制作期間は短いものです。撮影に1日、編集にはもう少しかかりました。クリスの家の前に、よく猿使いのノルハディ(*字幕ではナハディ)が通りかかるので、ある日曜日、彼のパフォーマンスについていって撮影しました。最近では、デジタルビデオカメラがとても小さいものになっていますから、小脇に抱えて撮影していても、ほとんど周囲に意識されることはありません。ノルハディもほとんど気にしていなかったですね。

 『モンキービジネス』のコンセプト・アイディアはスプラプト、撮影したのはクリスです。撮影地はクリスの家の前の道や王宮広場など、元々の彼の巡業地です。ノルハディの語り、ナレーションは、彼自身によるもので、原稿があるとか、それを読んでもらっているとかはありません。「こんなビデオを作っている」と説明したら、彼自身が問わず語りに語ってくれた話です。そのため、きわめて自然にしあがりました。もちろん、話しているのと、歩いているのは別々のときですよ。彼の語りを映像にかぶせて編集しました。

2005年8月25-27日 聞き手:石田佐恵子
 
     
 
TOP of this page