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Kim Hyoung Nam
キム・ヒョンナム

 
     
   
 

■『戦争と人間』について

ーきっかけ

僕がカメラを習い始めたとき、ちょうどイラク戦争がはじまったのです。人が人に銃を狙うことはおかしいのではないかという疑問から映画を撮るようになりました。そのあとは韓国の徴兵文化、軍隊文化についてドキュメンタリーを撮ってきており、去年は個人的な恋愛話をドキュメンタリーで撮るようになりました。『戦争と人間』はできるだけ多くの人々に見せたいと思っていましたので、大阪市立大学のウェブページにのることになり、大変ありがたく考えております。僕は個人的に帝国主義や戦争そのものには興味を持っていなかったし、ただ、人が人に銃を狙うことがおかしいと思っただけです。その当時、人々はみんな同じ悩みを持っていたと思います。

この作品はメディアクトの修了作品でした。メディアクトは私が大学のとき、偶然知人に紹介されて、教育過程に参加することになりました。大学のときの専門は社会学でありますが、映像を専門にしたわけではありません。映像社会学という言葉そのものがあるかどうか、僕自身はまだわかりません。映像人類学ではカメラでその対象を撮って見せると思いますが、社会学ではどのように映像を利用しているのか、わからないのです。

―作品を撮るときのディレンマは?

ディレンマは常にありました。派兵反対運動について、カメラで撮りながらも警察の弾圧について直接対抗することはできませんでした。でも僕の役割はこの場面をカメラに記録すること、見せること、そして作品として作り上げることだと、その派兵反対運動をやっていたNGOの人がいってくれました。派兵が決定された日の現場、その風景についてカメラのなかに収めることは僕にしかできないことだと思いました。

―『戦争と人間』は、ほかのところでも上映されましたか?

僕の母校であるソウル市立大学で上映しました。梅香里(メヒャンリ)の米軍反対運動を描いた歌を挿入曲として入れることにより、歌にも期待を込めました。歌と映像を一緒に感じることでその現場の雰囲気を感じさせたいと思いました。反応はとてもよかったのですが、派兵運動をする人々の行為がまた異なる暴力を生んでいるとの批判もありました。

―作品のなかの人々とのその後のつながりは?

作品が終わったあとは、ほとんど連絡しておりません。

―この映像と似ているものをほかのところでみたことがありますが

この映画のなかに登場する団体の派兵反対運動は二日間のものでしたが、前日のものは別の人が撮り、当日は僕が撮りました。僕はこの映像のなかで言葉を省略し、できるだけ、歌と映像、つまり、映像でいいたいことをいいたかったのです。

―映像そのものに関する考え方は変わりましたか?

『戦争と人間』を撮ってから、映像のなかに自分を溶かす作業が僕にはすごく足りないと思いました。これは僕のこれからの課題だと思います。僕はもともとは放送の映像に興味を持っておりましたが、今は主流メディアではないカウンター映像の方に魅力を感じます。放送の仕事も少しやったことはありますが、映画の方が魅力的だと思います。僕が放送でやっていた仕事は『VJ特攻隊』というもので、コンセプトは視聴者の映像を放送するというものでしたが、実際はプロの人々が撮りながらアマチュアーのものを撮る真似をするものでした。その仕事は少しやってからやめました。僕は何があってもやりがいのある映像を撮りたいと思います。

―韓国独立映画そのものの環境は非常によくないと思いますし、映画産業が発達しているなかで、独立ドキュメンタリーはその影だと思いますが、どうですか?

もちろん、一般の人々は独立ドキュメンタリーそのものに興味は持ってないと思います。しかし、先輩たちよりは今が客観的な環境はよくなっているし、これからもよくなっていくという希望を持っています。

―これからつくりたい映像は?

今までは軍隊に行ってきたばかりの20代の人々に焦点を合わせ、軍隊文化について映像を作ってきました。彼らは主に僕の友達ですが、軍隊に行く前までは既成世代に批判的な人々だったのが、軍隊に行ってきてからは既成世代とまったく同じ考え方をするのです。その変化について僕は映像で撮っていきたいと思うし、これからはもっと年配の人々を対象に映像を撮っていきたいと思います。軍隊文化が人々に与えた影響や、その文化が人々をどのように洗脳させているのかについて語りたいです。

インタビュー&構成&日本語訳 梁仁實(ヤン・インシル)

 

 
     
 
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