ABOUTVIDEO COLLECTIONINTERVIEWSFOR RESEARCH
Interview Index
インタビュー一覧
Message Index
制作者からのメッセージ
     
  Kurose Masao
黒瀬正男(くろせ まさお)
 
     
     
  【プロフィール】
1954年広島生まれ。演出・プロデューサー。大阪芸術大学映像学科卒業後、副手を務めながら撮影所やプロダクションで映像制作の仕事に従事。テレビ番組の制作会社勤務を経てフリーとなり、現在、黒瀬映像演出事務所を主宰。VP、記録、ドキュメンタリー、ウェブコンテンツなど映像作品全般を制作。1996年より、関西大学社会学部にて「マス・コミ制作実習ビデオジャーナリズムコース」を担当、毎年の学生作品の中から秀作を継続的に「てれれ」で発表している。その他、大学や自治体等からの依頼で映像制作講座を開催。

黒瀬映像演出事務所のHP  http://www.eonet.ne.jp/~sirokuma/


■学生作品と「てれれ」

 2003年に「てれれ」が始まったときから、実習で制作された学生作品を出品しています。ちょうど、撮られる人々への了解や音楽使用についての権利関係もきちんとするように指導を徹底して、一般公開が可能になった時期と重なりますね。「てれれ」に出すということは、作品が単なる「内輪受け」ならないように、多くの人に見てもらうことを前提につくる、ということを意識するために有効です。大学の外で作品を発表する場所として「てれれ」はとても良いですし、出したら作品に対する評価も返ってきます。それがまた良いところですね。「てれれ」に出してみると、指導者が駄目だと言った作品によい評価が来たり、その逆もあって、なかなか面白いですね。

 「てれれ」に作品を出している担当科目は、毎年約30名が受講しています。希望者が多い年は選抜します。やる気のある学生が多いですよ。前期はドラマ制作を行い、後期は身近な素材を題材にした作品を作っています。目標は、映像作品の企画書・構成台本を書けるようになるということですね。大学の社会学部ですから、技術を学ぶというよりは、企画側になることに重点を置いているわけです。また、ジャーナリズムという名称の科目ですから、身近な素材をいかにとらえるか、その視点がもっとも大切ですね。

 たとえば、企画書を書き構成を決めてから1分間の映像を撮らせて、映像を撮ることの難しさを学んでもらっています。その基本を学んでから、「じゃあ、今度は自由に作ってきて」というステップに進むわけです。3分間程度、という短い時間枠もとても大切ですね。多くの人に見てもらえる、見るに堪える作品にするには、短いということがまず重要なんです。学生に自由に作品の構成をさせると、10分、20分といくらでも長いものにしてしまいます。十分に素材を絞り込んで選択・編集をすることが必要なんです。

 学生が作品を作るときによく陥ってしまうのは、「プロのまねごと」になってしまうということです。日頃、テレビで見ているようなコピー作品ですね。そうじゃなくて、もう少し自由な発想で作ってもらえたら、と思います。技術的に小綺麗に作ること、じゃないところを目指してもらいたいですね。いまテレビが映像の基準になってしまっている、そいういう状況が僕はイヤなんですよね。テレビってめちゃくちゃ規制の中で作っているじゃないですか。放送法があるし、自主規制もあるし。基本的にテレビは自己主張しちゃいけないから、表面的な現実だけで面白くないですよね。ドキュメンタリーを作っても、テレビっぽくなってしまう、そういうところからいかに離れるか、それが大切だと思います。

 1年間のクラスで、平均して7~8作品をつくります。そのうち、出せるものはできるだけ「てれれ」に出すようにしていますので、1年に4~5本は上映してもらっています。最近は「てれれ」も応募作品が多いので、なかなか全部そのままOKというわけにも行かないようですが・・・。

 「てれれ」の下之坊さんに初めてお会いしたのは、自主制作映画をつくってドーンセンターで上映会をしたときだったと思います。そのころ、彼女はドーンセンターのスタッフでしたから。その後、大阪市の女性協会から性差別を題材にしたビデオをつくってくれないかという依頼があり、ビデオ工房AKAMEさんとの共同制作になりました。それが、ビデオ『おとぎ話の中のジェンダー』(大阪市女性協会、1997年、26分)です。その後、いろんな仕事をご一緒したりして「てれれ」も一緒にやってきたわけです。

■作品『都会の迷彩色』(2003/8)について

 なかなか目の付け所が良い作品ですね。最近はなんでも銀色、という「発見」にハッとさせられました。学生がつくる作品は、身の回りにあるものを素材にして欲しいですね。それが一番面白いんですよ。身の回りにあるものだけで構成できる、しかもハッとさせるっていうのが一番だと思いますね。それはプロの領域ではありませんが、逆にそれが面白いんですね。

関西大学社会学部 マス・コミ制作実習VJコースHP http://www.geocities.jp/amukoris/

2006年1月6日 聞き手&構成 石田佐恵子
 
     
 
TOP of this page