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頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム~EU枠内外におけるトランスローカルな都市ネットワークに基づく合同生活圏の再構築

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月度報告書(2013年2月度)木村容子

木村容子


今月からイタリアで研究を開始するにあたり、客員研究員として筆者を受け入れてくださった、ボローニャ大学文学部Maria Giuseppina Muzzarelli教授(中世史)のもとに、まずご挨拶に伺った。ムッザレッリ先生のご専門は、15世紀イタリア諸都市で誕生した貧民救済施設「公益質屋Monte di Pietà」の歴史から、「女性と食物の関係」まで、多岐にわたる。現在、大学では「中世史」と「都市史」そして「モードの歴史」の講義を担当されている。これまでに幾度か日本に講演に来られており、昨年12月には大阪市立大学で開催された国際円座「都市における貧困と救済」で報告された(「中世末期イタリアにおける貧困への対処」)。


M.G.ムッザレッリ先生 研究室にて

ムッザレッリ先生からは、筆者の研究計画に対する貴重なアドヴァイスをいただくとともに、来月ボローニャで実施予定の研究会や講演会の情報を教えていただいた。たとえば、「諸都市における歴史の政治利用-Alfonso Rubbiani没後100年に新中世主義を考える」と題された、19世紀のボローニャで数多くの歴史的建築物の修復を指揮したアルフォンソ・ルッビアーニの没後100年を記念する連続講演会など、どれも興味深いものばかりである(上記のルッビアーニ没後100年記念の連続講演会については、こちらを参照 )。今回のイタリア滞在中には、文書館での史料調査や図書館での文献収集のみでなく、こうした研究会や市民向けのイベントにも積極的に参加してゆきたい。なお面談の際に、ムッザレッリ先生が歴史・文化・文明学科(以下、歴史学科と略)の図書館責任者のもとに筆者を案内してくださったため、大変スムーズに大学図書館への登録手続きを済ませることができた。


歴史学科の内部。歴史学科は元修道院(13世紀創建のSan Giovanni in Monte修道院)の建物に入っている。

今月は、上述したボローニャ大学の歴史学科の図書館や、同様にボローニャの中心部に位置し、キリスト教関係の文献が充実しているジュゼッペ・ドッセッティ図書館Biblioteca Giuseppe Dossettiを訪れて、中世説教に関する先行研究や刊行史料の文献複写をおこなった。また、以前に筆者が執筆したセミナー報告論集の原稿に対して、今月に入って部分修正の依頼があったため、原稿の修正作業をおこなって再提出した(セミナーは2010年9月ボローニャ大学で開催された‘From Words to Deeds: the Effectiveness of Preaching in the Middle Ages’)。


歴史学科の中庭
2013/04/19 14:40