頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム | 事業概要

頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム~EU枠内外におけるトランスローカルな都市ネットワークに基づく合同生活圏の再構築

事業概要

頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム
EU域内外における~トランスローカルな都市ネットワークに基づく合同生活圏の再構築

大場茂明
研究代表
大阪市立大学大学院文学研究科地理学専修教授

大阪市立大学大学院文学研究科都市文化研究センターは、日本学術振興会「頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム」に採択されました。本プログラムは、2012年度~2014年度の3ヶ年にわたる助成事業です。

事業目的

「頭脳循環(EU TransNet)」プログラムは、トランスローカルな都市ネットワークにおける「合同生活圏(オイクメネー)」の再構築の可能性を考察することを目的としています。本プログラムでは、前近代〜現代におけるヨーロッパ都市群の形成過程を整理し、さらに、EU域内外の都市で進行するグローバル化のプロセスを分析します。

ヨーロッパの都市は、西洋文明史および社会経済史に関する研究においてつねに重視されてきました。しかし、先行研究の多くは、主要都市と地域の発展を牽引してきたその機能に注目しており、中小都市とそこでの社会的生活は大都市との対比によって論じられるのが主でした。しかし歴史的な視座に立つと、すべての都市と地域は、それぞれのアイデンティティを保ち続け、人びとの暮らしの記憶を蓄積し続けてきたといえます。

そこで本プログラムは、歴史的過程の指標として主要都市の近代化や進歩的発展を考察するのではなく、 都市空間をトランスローカルな都市ネットワークを構築する地域社会の一部としてみなし、何よりもまず都市が歴史的な過程や変容を経験してきた生活空間であることを確認し直します。主要都市と周辺地域の機能的な関係だけに焦点を当てるのではなく、連綿と続く人びとの暮らしと生活世界の歴史的形成の過程をとらえ直すことを目指します。本プログラムでは、このように形成される空間を「合同生活圏」と呼びます。「合同生活圏」に着目することで、本プログラムは都市とトランスローカルな都市ネットワークを形づくる、地域の統合と対立の過程を再構築します。

研究協力機関

本プログラムの研究協力機関は、

  1. ドイツ有数の歴史学の拠点の一つであり、地域研究・環境史学においても知られるビーレフェルト大学歴史学科
  2. 社会科学・人文科学の一大拠点であるフランス国立社会科学高等研究院
  3. イタリアの有数の総合大学にして社会史研究に卓越したボローニャ大学歴史・人間文化学科

です。

若手研究者派遣

本プログラムでは、2012年度中に2名、2013年度には新たに2名、さらに2014年度には3名と、合計7名の若手研究者を派遣する予定です。若手研究者は、現地で自身の研究・調査に従事するとともに、滞在先の大学・高等研究機関、公的機関による講義、セミナー、市民講座などの研修に積極的に参加します。これらの若手研究者には、研究交流を通じて研究者のネットワークを構築し、現地の専門家や同世代の研究者仲間との共同プロジェクトに参画することが求められます。なお、派遣者は「頭脳循環(EU TransNet)」プログラム運営委員会による選考に基づいて決定します。

国際セミナー

本プログラムは、事業の一環として、日本とそれぞれの相手国で国際共同セミナーを開催し、日本国内で個別セミナーを実施します。これらのセミナーは研究協力機関と共同で運営され、派遣される若手研究者に研修と研究活動の機会を提供します。若手研究者は、現地滞在中に文化的感受性を培い、知識と経験を積み、これらのセミナーに積極的に参加します。