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月度報告書(2014年4月度)犬童芙紗

犬童芙紗


4月1日、羽田空港国際線ターミナルを飛び立ち、フランクフルトを経由して、デュッセルドルフに到着した。到着は夕方であったため、その日はデュッセルドルフに宿泊した。今年のドイツは暖冬で、4月にしては暖かく、春物のコートで十分に対応できるほどであった。冬物のコートは必要なかったことにほっとした。

翌4月2日、デュッセルドルフ中央駅からICEでビーレフェルトに向かう。ビーレフェルト中央駅には、デュッセルドルフを出発して2時間ほどで到着した。ビーレフェルトの中央駅には受け入れ先のAngelika Epple教授の助手が迎えに来てくださり、中央駅から徒歩10分くらいの場所にある、私の滞在先となるゲストハウス"Kolpinghaus"まで案内してくださった。

写真1:デュッセルドルフからビーレフェルトに向かうICEの車窓にはしばしば菜の花畑が現れ、春の景色を楽しみながら移動することができた。

Kolpinghausに到着すると、管理人に事務室に通され、賃貸契約書に署名し、入室手続きを済ませた。その後、管理人から個室の鍵を受け取り、個室、およびシャワー、トイレ、キッチン、コインランドリー等の共同スペースを案内され、それぞれの部屋について簡単な説明を受けた。

筆者の受け入れ機関となるビーレフェルト大学には、到着した週に出向いた。ビーレフェルト大学のキャンパスを目にして、まず、機能的だという印象を受ける。大学のキャンパスは、Stadtbahnの駅Universitätと一本道で直結しているのである。


写真2:Universität駅


写真3:Universität駅とキャンパスを直結する通路
 

写真4:最寄り駅とキャンパスを結ぶ通路は屋根に覆われているため、雨の日でも駅から傘を差さずにキャンパスまで移動することができる。

ビーレフェルト大学の基本的な施設は、ほぼ全て一つの屋根の下に集まっている。キャンパスの中心にインフォメーションセンター、メンザ、カフェテリア、売店等が立ち並ぶメインホールがある。メインホールに接続して、各学部棟が建設されている。大学図書館も、メインホールを取り囲むように、各学部棟の上階(Obergeschoss )1階(日本で言う2階)部分に入っている。しかしながら、各学部棟の建物の内部は結構複雑で、目的の部屋になかなかたどり着けず、道に迷ってしまうこともよくある。


写真5:大学のメインホール

歴史学科のEpple教授の秘書のもとに挨拶に出向くと、筆者に割り当てられた研究室(Büro)の鍵が渡された。研究室には、デスク、パソコン、本棚と研究に必要な備品がそろっている。しかし、現在歴史学科が入居している建物は立て替えのため、5月中旬に、その代わりとなる建物として新たに建設されたErsatzgebäudeに移転する。翌週には、秘書の親身なサポートのもと、大学図書館の利用者カードや大学内で食堂やコピー機を使用した際の代金支払いに利用するプリペイド式のサービスカードを作成した。

受け入れ先のEpple教授にも挨拶を済ませ、筆者の今後の研究に関して、研究計画をもとに詳細に話し合った。筆者が19世紀から20世紀初頭のハンブルクにおけるジングアカデミー(混声合唱協会)の研究に関して、女性の参加にも注目していることを伝えると、まず、ジェンダー史研究に関する主要文献や学会を紹介してくださった。

ビーレフェルト大学には、世界中から学生や研究者が集まっており、キャンパス内を歩く人びとの肌の色や顔立ちは非常に多様性に富んでいる。ビーレフェルト大学にやって来た外国人研究者(Doktorand、PostDoc、Gastwissenschaftler)をサポートする組織として、"Welcome Centre"が設置され、ビザの取得から住宅、同伴する家族のことに至るまで、丁寧にサポートする体制が整えられている。Welcome Centreは、ドイツに研究滞在するのに必要な手続きや生活に関する情報を提供し、必要に応じて様々な支援を提供してくれる。筆者が銀行口座を開設した際には、Welcome Centreのスタッフが銀行にアポイントをとり、当日、スタッフが銀行の担当者のもとまで付き添ってくれた。Welcome Centreのスタッフは、ビザの取得に関しても、住民登録証明書、指導教授の招聘状、滞在費の保証書、健康保険の加入等、手続きに必要な書類を揃えているかどうか確認し、外国人局(Ausländerbehörde)にビザを申請しに行く際にも付き添ってくれる。

ビーレフェルトでの研究滞在に向けた環境は、様々な人びとの協力のおかげで順調に整って来た。来月からは本格的に研究活動をスタートさせることができるであろう。


写真6:旧市庁舎(左のほうにある三角屋根の建物)の近くには、チューリップ畑が広がっていた。
ちなみに、住民サービスは、旧市庁舎の左隣にある新市庁舎で行う。筆者は、ビーレフェルトに到着した翌日に、新市庁舎にて住民登録を行った。


写真7:チューリップの色は赤と白の2色。これは、ビーレフェルトの市章の楯部分の色に因んでいるそうだ。


ビーレフェルトの市章(こちらより)
2014/05/23 13:00