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月度報告書(2014年8月度)犬童芙紗

犬童芙紗


ビーレフェルトには早くも秋の気配が漂っている。ビーレフェルト大学のX棟前の木々は、紅葉(黄葉)が始まっていた。


写真1:ビーレフェルト大学X棟前の黄色に色づき始めた木々


写真2:黄色に色づく街路樹。すでに落葉も始まっている。

ビーレフェルトの夏は短かった。夏らしさが感じられたのは7月下旬から8月半ばまで。その後、雨が降ることが多くなり、肌寒くなった。こちらは雨が降ると気温が下がり、冷えて来る。雨が降ると湿気が増え、蒸し暑さが増す日本の夏との違いを実感している。朝は10度近くまで気温が下がるようになり、就寝時には毛布が必要となった。


写真3:道行く人びとの装いからも「秋」が感じられる。

筆者は、当月も引き続き、6月にハンブルクで収集したハンブルク・ジングアカデミー(1819年に設立されたアマチュアの混声合唱協会)の議事録を読み込んでいた。特に、公開演奏会の収益金を慈善活動に寄付していたという観点から、ジングアカデミーとハンブルク都市社会との関係について考察を進めている。詳細な実証研究を進める一方で、理論・方法論・枠組みを重要視する現在のビーレフェルト大学史学科の文化の中で、細かい個別事象をいかにしてより大きな枠組みへ展開し、議論の幅を広げるか、という課題についても日々考えさせられている。「木を見て森を見ず」という事態に陥らないよう、気をつけたい。今夏の研究成果について、10月にビーレフェルト大学において開催される国際共同セミナーで報告するつもりである。

大学は夏期休暇中のため、学生や教職員の出入りは普段より少ない。こちらでは休暇が近づくと、決まって、旅行が話題に上る。休暇中は、多くの人びとが旅行に出かけていたであろう。だが、8月下旬頃から、冬学期(10月開始)の準備に向けて、教職員の出勤頻度が上がり、キャンパスやX棟の史学科のフロアに活気が戻ってきた。

ところで、今年の4月からビーレフェルトに滞在し始めて以来撮り続けている写真の中から、並べてみると、季節の移り変わりがよく分かる3枚の写真を発見した。いずれも大学のメインビルディング正面玄関に続くアーケードの下で撮影したものである。アーケードに沿って並び立つ木々の様子や人びとの装いから、季節の変化が実感できる。今月度の報告書の締めくくりに、ぜひご覧いただきたい。
 

写真4:4月初旬。枯れ枝の間を抜けてキャンパスに向かう。


写真5:7月中旬。若葉が生い茂っている。その間を夏らしい装いで歩く。


写真6:9月初旬。黄色に変化した木々の間を、秋の装いで通り過ぎる。
2014/10/07 13:10