映画・テレビ・マンガ・インターネット。私たちの日常にあふれるこれらの様式は、一般的に「ポピュラー文化」「メディア文化」 「情報文化」などの用語で理解されてきた。その性質は「消費」「流通」というキーワードが示すとおり「流れ去る」ものであり、 社会における重要な共有経験・記憶を形作りながらも、体系的・網羅的に蓄積されては来なかった。近年飛躍的に進められた各種ア ーカイブ化の試みによって、従来のビジュアル・イメージをめぐる研究は劇的に変容しつつある。このシンポジウムでは、これらの 最前線の変容をとらえ、さまざまなビジュアル・イメージ・アーカイブが、研究・教育・社会認識の各領域に及ぼしつつある大きな うねりを総合的にとらえようと企画されている。

メイン・セッション(23日)では、さまざまなアーカイブ構築に携わる専門家を招き、焦点の定まった議論を深める。セッション1では、「収集する/保存する」行為とは何なのか、アーカイブ化の営みそのものに焦点を当てる。セッション2では、「分類・整理」され「展示」されることによって加えられる新たな意味について議論を展開 する。セッション3では、「社会への還元」に関心を移し、開かれたアーカイブズ、その成果を還元すべき相手とは誰かについて、 研究活動に限定することなくより広い社会的脈絡から考えていく。関連して、22日のプレ・セッションでは、さまざまな学問分野、 人類学、社会学、言語学、地域研究、動物行動学などにおける映像実践について、制作者自らが上映を交えて議論する。映像資料や 素材を研究に用いることは、それらを研究に活かすというだけではなく、ミクロなアーカイブ化の営みそのものであり、アーカイブ 構築や映像の研究利用の意義について、メイン・セッションとは異なる視角から考えていこうとするものである。

 Pre-Session
「とる、つかう、つくる」

撮影から作品化まで


2月22日(金)13:00〜19:30

上映・発表:
島田将喜 [日本学術振興会]
相馬貴代 [京都大学]
内藤真帆 [京都大学]
古川優貴 [一橋大学]
岩谷洋史 [神戸学院大学]
新井一寛 [大阪市立大学]
笹谷遼平 [同志社大学]
Renato Rivera[京都大学]
川瀬慈 [日本学術振興会]
須藤義人 [沖縄大学]

コメント:
木村大治[京都大学]
八角聡仁[京都造形芸術大学]

司会:分藤大翼 [京都大学]
セッションコーディネーター:
新井一寛[大阪市立大学]

 Session1
「あつめる」
収集と保存:選択の権力作用


2月23日(土)10:00〜12:00

鈴木豊 [放送番組センター]
「放送番組アーカイブズの 公共的活用に向けて 放送ライブラリーの現状と課題」

山内隆治 [日本映画新社]
「記録映画アーカイブ化の実際」

表智之
[京都国際マンガミュージアム]
「マンガの“公的”収集は可能か」

セッションコーディネーター:
梁仁實 [大阪市立大学]

 Session2
「ならべかえる」
編集と再構成:展示の力学


2月23日(土)13:00〜15:00

山田奨治 [国際日本文化研究センター]
「複製物で広がったヴィジュアル・イメージを探る」

板倉史明 [東京国立近代美術館]
「映画復元における倫理と創造性」

宮本大人 [北九州市立大学]
「マンガにとってミュージアムはどんな場でありうるか」

セッションコーディネーター:
山中千恵 [仁愛大学]

2月23日(土)17:30〜
総合討論: 伊藤公雄[京都大学]、石田佐恵子[大阪市立大学] ほか

 Session3
「ひらく」
公開と上映:アーカイブズの公共性


2月23日(土)15:30〜17:30

松本篤 [remo]
「パーソナルな知からパブリックな知へアナログな知からデジタルな知へ -AHA! の実践」

内田順子 [国立歴史民俗博物館]
「映像を解釈する権利とアーカイブズ アイヌ民族との共同研究の事例から」

長井暁 [NHK放送文化研究所]
「アーカイブズの研究・教育利用をどう進めるか 世界のアーカイブズの実情から」

セッションコーディネーター:
丹羽美之[法政大学]


主催:映像社会学研究会
共催:京都造形芸術大学・舞台芸術研究センター
協力:映像都市研究会
お問い合わせ: popovich.jp.8@gmail.com

参加予約は必要ありません。直接会場にお越しください。

会場へのアクセス
交通アクセス:
http://www.kyoto-art.ac.jp/other/access.html
キャンパスマップ:
http://www.kyoto-art.ac.jp/info/about/campusmap.html
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